前回、体が敏感に反応することについて書いたのですが、これって体だけではなく心（精神的なこと）に関しても言えること。ちょっと複雑になりますが・・・
家族をはじめ、お勤めをしている人は会社の人間関係、主婦だとご近所づきあい、ママ友etc... ほとんどの人は誰かとの関係性の中で生活していると思います。
誰でも少なからず一度は対人関係で苦労した経験はあるのではないでしょうか。
苦手だな、嫌だなと思っている相手に対して、一言でも二言でも言い返したり、その気持ちをうまく伝えることができる人は問題ないと思うのですが、そうでない場合、自分の心を閉ざしたまま受け流したり、見てみぬふりをして冷静に対応する人がほとんどだと思います。
どんなに冷静に対応したとしても、不快を感じる限りチクッとしたり、グサッと刺さった感情は必ず体に記録されています。
でもそういう言動にいちいち敏感に反応していると次第に心身ともに辛くなってきます。そんな状況が続くと笑ってごまかしたり、感じるのをやめることで自分の内側を保とうとするようになるのです。
「こんなことみんな普通にやり過ごしているし、もっと大変な人はたくさんいる」といった具合に、反応している自分をスマートじゃないダメなやつと思うのか、取るに足りないこと、小さいこととして扱う。
ですが、感じていることをなかったように「装う」と、傷つきもしない（ように見える）けどいいことも心から楽しい！と感じられなくなってしまうんです。
どうやらいいことだけ感じるということはできないらしい・・・ 痛みを感じないようにすると、楽しいこともあまり感じられなくなる。
私は以前会社員だったとき、「なにか面白いことないかなぁ」ってよく言ってました。あのときの自分に教えてやりたいです。つまんなかったなー。。
なんとなく嫌なことにも楽しいことにも鈍感になったまま、それが積み重なると、やる気が出ないとか、腰が痛いとか、慢性的にだるいとか、体に不調が現れてくるのですが、たいてい自覚がないことが多くて「悪いところ、特にはないです。まあ普通です。」って言ったりします。
嫌なことも楽しいこともあんまりないのが普通・・・これではやっぱりなんか面白くない。
自覚がないまま忘れられた感情は、自分では見つけられない場合が多いです。意識上では。
整体指導ではこういう本人に自覚がないけども確かにあった感情を丁寧に拾って扱います。
私はここに整体指導の素晴らしさを感じるのだけど、指導を受けたり活元運動をしていると、過去の情動が浮き上がってくることがあるのです。それは前触れもなく、ただ思い出すのです。最近の不快だったこと、とても昔のこともあります。
はじめは現在の問題や悩みと思い出した過去の出来事は繋がらないのだけど、受け入れて感じ直すことで今の自分と統合されて・・・すとんと腑に落ちる。いろんなフィルターがかかっていた自分がリセットされるような感じです。
私は父親との小さい頃の関係性（まったく記憶になくって本当に忘れていた！）が、現在の対人関係に結構な影響を与えていたのだけど、不思議なことにそれがわかった途端、それまでうまくいかなかった仕事上のやりとりがさらーっと流れていくようになりました。相手の意見も尊重しつつ、自分が思うことも伝えられるようになった。 これは本当に想像もつかない展開でした。
慢性的にチクッとする不快は見過ごすことが多いけど、こういうのは本当にいろんな場面でシミをつくる。
正直、こんな小さなことで？！ いやいや、もっと別のがあるでしょう。そんなことが体に記録されるなんて、ないない。。というのが野口整体を受け始めた頃の私でした。。
それって自分が勝手に小さいと判断しているだけで、どんな感情もちゃんと体には残ってて。。嘘はつけないんです。。意識上にのぼってこないだけなんですね。
でも、体を通して自分の気づかなかった一面を知るのは楽しい。毎日の生活が違って見えてくるから。人の見え方も変わるし。感じ方も変わる。これってすごいことだと思うんです。
環境が変わったわけでもなく、何かを得たわけでもないのに、自分の内側が動いたことで新しい時間がはじまったような新鮮な気持ちが持てる。
前は日常がつまらなくて、毎晩お酒飲んだり、年に一度は海外旅行に行ったりしていました。それは今でも大好きだけど、長続きはしない。むしろそういうことは気分転換ではなく、ただ純粋にそのことを楽しみたい。
つらいことは感じないようにして、でもハッピーに過ごしたいから、外に強い刺激を求めるっていうのはやっぱり悪循環だよなぁ。と思うようになりました。
体を壊して救いを求めた整体。体は体だけで完結するものだと思っていたけど、いろんな気づきを与えてくれます。それも自分の内側から出てくるのだから、不思議です。
体と心は本当にひとつだなぁと日々感じるのです。